「逃げた自分が情けなかった…」被災地で笑う老婆の姿見て、戻った外国人
石巻が 好きだから−。福島第1原発の 放射性物質が漏れた影響で 在日英国大使館から
退避指示を受けながら、途中で引き返して 宮城県 石巻市に残った英国人がいた。
同市に暮らして18年になる石巻専修大理工学部准教授のリチャード・ハルバーシュタット
さん(45)。
1度は英国帰国を決意しながら「友だちを見捨てたくない」と 寸前で思いとどまった。
津波被害からの復興に、仲間とともに尽力している。
仲良しだった金物店の友人夫婦は津波にのみ込まれた。遺体が見つかった車に駆け寄ると、
友人が大好きだった日本酒を注いだ。知人が何人も消息不明になった。
在日英国大使館からの連絡は17日、突然あった。「東北の人は国外に出た方がいい」。
福島第1原発から 80キロ以内が、英国政府の退避勧告区域。石巻は100キロ
以上離れており、勧告ではなく 指示だったが 「すごく悩みました」。
日本人の友人は全員「当然、行くべきだ」と言った。周囲の外国人は 帰国し、
英国の友人からも「帰ってこい」とメールが来た。迷いながらも1度は帰国を決意した。
翌18日、涙で友人と別れを惜しみ、大使館の迎えの車に乗った。
電気が通っていた仙台で1泊した際、震災以来初めてテレビをつけた。石巻市内の惨状が
映っていた。すると、全壊した家の前でおばあさんが笑っていた。「すべてなくしたから
もう笑うしかないよ。これから頑張るしかないね」
「衝撃的でした。なんで笑えるのかと。自分の家は無事で命もあるのに、逃げることに
なる。友だちを見捨てることはできないと思った。行けば、自分で自分が許せなく
なる」
88年から3年間、山形・鶴岡市で暮らして日本が好きになった。93年に再来日し、
石巻専修大で英会話を教えてきた。以来18年暮らした第2の故郷に、わずか一夜で
引き返した。前日に送り出したばかりの友人に「ばか者」と怒られた。 それが
「うれしかった」。もう1度涙で再会を喜んだ。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110327... http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/03/27/kiji/K...
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