平成の銀河鉄道の夜

それが輪るピングドラムである。
銀河鉄道の夜は、言わずと知れた宮沢賢治の名作童話である。
主人公のジョバンニとカムパネルラは銀河鉄道に乗り旅をする。
簡単に言うと、カンパネルラの死出の旅路に夢の中でリンクしたジョバンニが付きそうというもの。
自己犠牲が主なテーマになっている。

それを踏襲し、あのオウム事件や、アフリカケンネルの事件などをモチーフにして作られたのがこの輪るピングドラムだ。
主人公の名前もジョバンニから、ショウマ、カンパネルラからカンバ。
最大の敵には、ザネリからサネトシといった具合だ。

この物語のテーマも愛による自己犠牲。上っ面の愛ではない。家族としてかけがえのない人を失ったとき、自らの命を犠牲にしてでも、その人を救いたいという愛。
きっと何者にもなれないお前たちとされたショウマとカンバが、本当は透明にされる存在だった、妹を救うために行動する物語。
運命の果実を一緒に食べよう。この言葉と共に。

今世紀、今のところこれを超える感動作はない。
あの花のような、強引に泣かせるような演出はない。見ていれば涙が溢れて止まらない。そういう作品。

https://www.youtube.com/watch?v=mF56FXomiAM

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